「リヒャルト、またピアニッシモで終わるのかい」

「ほかの批評家は怒り狂っていた。彼らはこの作品中醜く
描かれた『批判家や敵』が、
自分自身の
ことだと思ったからだ。」という自身のコメントや、木管楽器に書かれた
「非常に鋭く、鋭利に」
「ギイギイと、シューシュー音を立てて」
といった
演奏指示からも、シュトラウスが
いかに批評家たちの戯言に
無関心であったかは明らかです。
交響詩《英雄の生涯》の成立には、それと対を成す悲喜劇的な
人物《ドン・キホーテ》が切り離せません。
本来シュトラウスはこれら二つの作品が、例えばコンサートで
同時に上演されることを意図していました。

「観客は君がフォルテで曲を終止させられるなんて
思ってもいないだろうね。」
ある来訪者は、ソロ・ヴァイオリンとホルンで静かに閉じられる
終結部について
そう評したとされています。
それを聞いた若きリヒャルトは、朝食の合間に紙切れへと
新しい終結部を書きつけました。
この新しい終結部のことを、シュトラウスはゲネラル・
プローベの際、
冗談交じりに
「まるで国葬だ」と語っています。

リヒャルト・シュトラウス

英雄の生涯

大管弦楽のための交響詩

op. 40 TrV 190

校訂:ニック・プフェッファーコルン
原典版

PB 5711大型スコア
[760109]¥48,103(税込)
パート譜はレンタルです。詳細はお問合せ下さい。
 

好評発売中

ドン・ファン op. 20 TrV 156 / 死と変容 op. 24 TrV 158 / ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら op. 28 TrV 171 / アルプス交響曲 op. 64 TrV 233 / ドン・キホーテ op. 35 TrV 184